潰瘍性大腸炎と食事
潰瘍性大腸炎は、薬物療法、食事療法、緊急を要する場合には手術の適応となります。
基本的には薬物療法と食事療法が行われていますが、ここでその際のお食事の内容についてご説明します。
炎症が強い「活動期」の食事
できるだけ消化の良いものを食べるようにしましょう。「高エネルギー」「高たんぱく」「低脂肪」の食事を意識してください。
卵、大豆製品、鶏肉、魚などの食べ物をおすすめします。
避けるべき食べ物・飲み物
- 食物繊維が豊富なもの
- 揚げ物
- 刺激物(香辛料を多く含むもの)
- コーヒー、アルコール
- その他冷たい飲み物
また、一度の食事の量をいつもより減らす。食事の際は良く噛んで食べることも重要になります。
炎症が収まった「寛解期」の食事
厳しい食事制限は不要になります。食事のバランスには注意しましょう。
注意点
- 栄養バランスの良い食事を摂りましょう。
- 暴飲暴食は避けてください。
- 刺激物、アルコール、コーヒーなどもできるだけお控えください。
潰瘍性大腸炎とは
大腸の粘膜に炎症が起こり、びらん(ただれ)や潰瘍が生じている状態を、潰瘍性大腸炎と呼びます。悪化すると、大腸に穴が開いてしまうことがあります。また、長く放置していることで、大腸がんのリスクも高まります。
かつては欧米でよく見られる疾患でしたが、近年は国内での発症者数が急増しております。
はっきりとした原因はまだ分かっていませんが、遺伝的要因に環境的要因(乳幼児期の抗生剤使用など)が重なり、免疫異常を起こして発症するのではないかと言われています。
治療では、免疫異常を抑える薬物療法、食事療法などが行われます。緊急を要する場合には、手術も行われます。
症状のコントロールをしながら、大腸粘膜の状態を落ち着かせていくことが重要になります。
潰瘍性大腸炎の症状
潰瘍性大腸炎の症状としては、以下のようなものが挙げられます。少しでも心当たりがある場合には、お気軽にご相談ください。
- 腹痛
- ひどい下痢
- 粘り気のある血便
- 発熱
- 貧血
- 体重減少
- 頻脈 など
潰瘍性大腸炎の診断
症状、既往歴などをお伺いし、大腸カメラ検査、X線検査、便潜血検査、血液検査などを選択的に実施し、診断します。
他の腸疾患との鑑別が重要になります。当院では、苦痛の少ない大腸カメラ検査を実施しております。
潰瘍性大腸炎による合併症
潰瘍性大腸炎には、以下のような合併症が見られます。
- 大腸の狭窄、穿孔
- 大腸がん
- 関節炎
- 虹彩炎
- 膵炎
- 皮膚疾患 など
潰瘍性大腸炎の再燃
潰瘍性大腸炎は、一度粘膜の状態が良くなり寛解した方でも、炎症が再燃することが珍しくありません。
定期的に、できるだけ年に1度は大腸カメラ検査を受け、炎症の再燃を早期に発見し、治療の負担を軽減することが重要になります。